「カレーのココイチ、タイで人気沸騰」の記事に学ぶマーケティングの王道(タイトル長い)

カレーのココイチって皆さん好きですか?
え、知らない?
そうですか。。そんな人もいるのですね。。

私が上京したころ(1995年)、静岡にはあったのかなぁ、なかったのかもしれない。
大学時代から無職時代にかけては(1995年~2002年)、ちょくちょくお世話になっておりました。
吉野家、松屋、ラーメン屋、ココイチなどは、独身男性の定番ですね(とかいって、実は今でも行っている)。

さて、本題です。
カレーのココイチがタイで人気沸騰とのことです。

こちらの記事です(クリックを)。→カレーのココイチが、タイで人気沸騰のワケ デートも商談も「3000円カレー」を食べながら | 決断筋を鍛える – 東洋経済オンライン

私は何度かタイに行ったことがありますが、ココイチがあった記憶がない。。
いつ進出したのかな?
(今度調べておきます。今日のところはスルーということで)

この記事によりますと、

ココイチの標準的なカレーの価格は600円ほどだ。だが、シンガポールならともかく、そのままの価格で現地に持って行っても、そのまま受けいれられるのは難しい。タイのサラリーマンの標準的な月給は、日本の4分の1から5分の1(たとえば飲食店正社員なら、4~5万円程度)だ。

ということは、600円のココイチのカレーは、日本人の感覚でいえば4~5倍、「3000円くらいかけて、店に行くイメージ」だ。当然、日本と同じ価格を許容できる「海外在住の日本人」を対象にすればおのずとマーケットは限られる。しかし、安くすれば現地のローカルフードとの競合になるし、採算も取りにくい。日系外食チェーンがよく陥るジレンマだ。

そこで、ココイチが採った戦略は、日本では比較的リーズナブルなイメージを、なんと高級ブランドへと、転換することだった。日本式カレーをベースに、オシャレなブランドイメージを実現したのである。

価格を日本と大差ない200バーツ(600円)程度にするかわりに、写真のように、照明を少し落とし、高級感のある内装にして高級ブランドイメージを打ち出した(上の写真)。店内は、ゆったり食事をしてもらえるように一人向けカウンターはなく、テーブルが主体だ(下の写真)。しかも出店は、高級デパートなど超1等地中心に行い、日本式の高級カレー店のイメージを定着させた。

ただ、逆に、核となるカレーの味だけは、変えなかった。味の決め手になるルーは、コストをかけてでも日本からの輸入にこだわった、コメも日本米を使用した。
日本と全く同じ味で、現地のカレーと差別化を図ったのだ。トッピング好きなタイ人向けに、具材トッピングや辛さを選べる楽しさもアピールした。

その結果、日本式の高級カレーのイメージを創りあげ、デートやら、ビジネス層までにぎわう店づくりを可能としたのである

とのことです。
え、ココイチが?間接照明?高級店?商談やデートに人気?
うそでしょう。
私の思うココイチといえば、独身男性のむなしいひとり飯、男子大学生のたまり場、独身じゃないのだけど哀愁漂うサラリーマンのひとり飯のイメージで(あ、ヤンキーカップルもいたりしますね。あくまでイメージですが)、その落差に驚きを禁じえません。

が、しかし。

私がポイントだと思うのは、こんなところではありません。
ターゲティングやメニューや価格設定やそれらを踏まえてのブランドイメージ戦略については、マーケティング的に入念な調査、検討が行われたことは記事が指摘するとおりだと思います。
しかし、これらの要素は、成功すればそれが要因であるかのように語られがちですが、成功していなかったらそれが失敗要因としてあげられれかねないほど、根拠としては実はあやふやなものではないかと思うのです(あたるかどうかはやってみなければわからない的な面が多分にある)。

私が素晴らしいと思ったのは、次の点です。
記事はこのように続けます。

ココイチが成功したもう1つの大きな理由は、「結婚相手」を間違えなかったことだ。つまり、自前主義にこだわらず、現地パートナーとの協業にうまく成功したことだ。

多くの日系企業が自力での展開にこだわる中、ココイチは現地の大手外食チェーンと手を組み、しかもフランチャイズ展開で運営母体は現地チェーンに任せることにより進出を図った。

進出したばかりの日系企業が単独で事業を進めるといっても、そうそう簡単に的確な物件情報をつかめるものではない。1等地の出店は大きなリスク。しかも、どのエリアがどんな客層が主体なのかといった、マーケティング情報もない。現地での食材調達や、人材採用・オペレーションの確立も難しい。そこをうまくクリアさせたのが、パートナーの存在だったというわけだ。

タイで組んだ相手は、大衆日本食チェーンの大手、「FUJIレストラン」というグループ。現地での大手チェーンとしてのノウハウを持っているため、日系が進出する際に直面する問題をうまくクリアしてくれた。

もっとも、同業と組めばうまくいくと言うわけではない。客層が競合してしまう場合や、方針がズレた場合などは決裂することも多い。ココイチが、味・メニューのノウハウを持ち、店舗出店や調達・運営に関しては、パートナーであるFUJIの力を借りた。この場合、FUJIは、日本食といっても大衆食のため、客の奪い合いもなかった。成功の果実を共有できる「結婚相手」を、他に取られる前に選んだことが、もう1つの勝因だったのだ。

いわゆる戦略的互恵関係というやつですね。

わかりますか?
自分にないものを他者に補っていただく関係です。
反面、その他者にないものを自分が補う関係です。
よくいうWin-Winの関係ってやつですね。

ココイチの成功戦略から我々が学びを得るとするならばこの部分だと思うのです。
そこであなたに問わせていただく(←えらそう)
あなたは自分の商売に、このような互恵先をもっていますか??
と。

そういうお前はどうなんだ?という当然すぎる疑問もおありでしょう。
ごもっともでございます。
人のことを問う以上、私も正直にお話ししなければなりません。

わたしもひとりで商売(法律事務所のことです)をするようになって1年が経過しました。
平成25年3月に設立して、今は平成26年の6月です。
この間、ずっとひとりでやってきました。
なぜか?
それは私がこんな思考回路の持ち主だったからです。
できれば言いたくないことですが、もう正直に言ってしまいます。

(以下、私の心のなか)
俺はすべてのことを独力でやってやるんだ!
俺ならできるはずだ!
誰の助けも借りるもんか!
独力でやってこそみえてくる世界があるんだ!
下世話な話、成功できた場合はひとりでやっていたほうが利益を独り占めできるもんな。
俺ならできるはずだ!
独力でひとりで絶対成功してみせるぞ!!!

以上、私の内心でした。
ぎらぎらしていていますね。
我ながら生々しくていやになる。
人格を疑わせるほどの本音の吐露はろくなことになりませんので、
正直に話すのがためらわれるのですが、もう言ってしまいますというか言ってしまった。
正直は美徳(とは限らないのであんた気を付けなさいよという母からの教えを無視)とあえていわせていただこう。賢明な皆様のために。
私の失敗(思い上がりや思い違いも含めて)をぜひ参考にしていただければと切に願います。

熱くなりすぎてしまいました。
話を元に戻します。

要は、
なんでもかんでもひとりでやろうとしても、
所詮は限界があるということです。
あなたが凡人である限り。

私は自分がいかに凡人(どころか能力不足、ひとりじゃなんにもできない)であるかということに、
この一年でいやというほど気づきました。
物理的にも、すべての業務を自分ひとりでやっていては、時間が足りない。
業務に全く広がりがでてこないのです。
電話対応も自分ひとり、書面作成も自分ひとり、裁判所対応も自分ひとり、
お客様対応も自分ひとり、営業活動をするもの自分ひとり、営業活動を遂行するのも自分ひとり、
うまくいかなくて次の手を考えるのも自分ひとり、次の手をうつのも自分ひとりetc..

これでは時間をいくら有意義に使おうとしても限界があるのです(←早く気づけと今なら思う。でも気づかなかったんです一年たつまでの間。本当におばかさんです)。
これでは自分の物理的行動以上にはビジネスが広がっていきようがない、それどころか停滞するにきまっているではないですか。。

さてそこで戦略的互恵関係なわけです。
ココイチは自らの商品力(味・メニューのノウハウ)を生かし、タイの国内での展開力(店舗出店や調達・運営)に関しては、パートナー(FUJI)をみつけその力を借りた。ココイチもFUJIも、自分の強みを生かしつつ、自分にないものを補ってもらうなかで、事業を共同で展開し、成功の果実をともに手にしたのです。
互いの存在がなければ、今の成功はないといえる関係なわけですね。
素敵です。

もう一度問いましょう。
あなたの事業に戦略的互恵先はありますか?

あなたの事業がいまひとつ広がらないのは、
自社のリソース(時間・人材・サービス内容・商品)の価値を過信してしまい、
それらの有限性を無視してしまっているからではありませんか。
時間は無限にない、商品力もたいしたことない、自社限りの品(サービス含む)ぞろえには限界がある、物流、販路も限られている等々の事実から目をそむけてはいませんか。
自信を持つことも大切ですが、限界を感じているようであれば、
一度意地になるのをやめて、本気で、互恵先を探してみるのもいいかもしれません。
すべてはお客様によりよいサービスを届けるためなのですから。

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