廃棄物収集業者の逮捕されてしまった経営者に学ぶ「ゴミの山から宝をみつけるビジネスセンス」

今日のFNNニュースから。
≪東京・日野市の廃棄物収集会社の社長らが、偽った書類を作成したうえで、廃棄物を処理­業者に引き渡さずにリサイクル業者に横流しして、二重の利益を得ていた疑いで、警視庁­に逮捕された≫そうです。


個人的には、わかるわ~という感想です。
やや不謹慎ですが。

廃棄物関連業者には、
収集しかやらない収集業者と廃棄しかやらない処分業者があるんですね。
で、本件は収集業者のお話です。

収集業者はあたりまえですが、廃棄ができませんので、依頼を受けた客先から収集した廃棄物の処分を、処分業者にお願いしなければなりません。
当然、客先からは、処分業者に支払う費用も織り込んだ価格設定をした代金を受け取っており、客先からしたら、収集業者に依頼した時点で、後はまかせたぞということになり、収集業者も責任をもって、廃棄物の処分を、別の処分業者に依頼して、処分を完遂させなければなりません。

ところが社長は気づいてしまった。
廃棄業者に依頼しなくてもいいんじゃね?費用かかるし。
これを本気で実行している業者は、今も確実に今も存在しています。
要は、不法投棄してしまう業者ですね。
処分費用まで受け取っておきながら、単にどこかの山中に捨ててしまうという。
定期的にニュースになってます。
今回のケースはこのような抜本的コストカット作戦ではなく、
さらに知恵がありまして、よくみたらこれ、まだ売れるんじゃね?
廃棄すると廃棄費用かかるけど、売ってしまえば廃棄費用もかからないし、むしろ利益が上乗せできるね、
やるか。。
というわけで、本件では、回収したプラスチックなどをリサイクル業者にまた横流しして利益を上げていたところ、都の立ち入り検査で、運搬完了(実際に処分業者に引き渡していないのに)した書面を偽造していることが発覚し(先週(平成26年5月27日)に行政処分を受けていたようです。→東京都環境局の報道発表はこちら)、お縄となったようです(有印私文書偽造罪等)。

環境問題的には、廃棄よりも、リサイクルのほうが、より上等(エコ)な方法ですので、
廃棄せずにリサイクルする道をとったこの業者も、ほめられてもいいような気もしないでもないですが、
廃棄したい人から、廃棄まで任せてくださいということで依頼を受けている以上、やはり、内緒で横流しして儲けてはいけないですね(書類偽造してるし)。

ビジネス的には、仕入は極力安く、売値は極力高くが、もっとも利益率が高く、上質の商売となります。
(値段に見合うサービス、希少性があって、お客様が満足しているということが前提です。もちろん。きれいごとかもしれませんが)。
その意味で、この業者さんも、仕入れ値ゼロで仕入れたゴミだが、これ実際にはゴミじゃないじゃん、売れるじゃん、リサイクル業者なら買い取る業者いるじゃん、売らなきゃ損じゃん、と気づいてしまったがためにこのようなことになってしまいましたが、商売人の思考回路としては合理的ですよね。
不法投棄事案と同様、まだ逮捕されていないだけで同じことをやっている業者はまだたくさんいるでしょう。びくびく。

廃棄を依頼する企業が、秘密保持や同業他社への牽制やコンプライアンスなどの必要性から、まだ使えるものであっても、きっちり廃棄処分をしたいという意向は理解できます。

ただ、人間の素朴な感覚として、まだ使えるのにもったいない、だったら俺がもらっちゃおうかな、俺もいらないのだけど、これなら欲しいやついるな、売っちゃおうかな、という心の動きというものは、よくわかる気がするのです。浅ましいですか。
収集運搬を依頼してくれた客先に対して、偽造した書類を提出し、だました形になっている点については、詐欺的でもあり、私文書偽造罪にもあたりますので、その意味での情状酌量は難しいかもしれませんが(法的な話)、社会的に見れば、(a)廃棄処分ではなく、リサイクルの道をさぐることと、(b)リサイクルできるのに、廃棄処分を選ぶことのどちらが世の中的によいことなのかということは、ひとつ、考えてみる価値があるのではないかと思った次第です。

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