夫の無精子症と精子提供による出産に思う

2014/6/17のANNニュースから。
夫が無精子症で、子を望む夫婦につきつけられる選択肢は次の4つであると報道では説明しています。

(1)夫以外の第三者からの精子提供を受ける(AID)
(2)養子縁組
(3)夫婦ふたりでの生活(子はあきらめる)
(4)離婚

これは、家族とはなにか?夫婦とはなにか?親子とはなにか?を突きつけられる問題です。
解説しましょう。

(1)夫以外の第三者からの精子提供の場合
この場合、生まれてきた子を夫婦の子として出生届を提出すれば、法律上は問題なく夫婦の子であると扱われることになります。
しかし、生まれてきた子と夫との間には、血縁関係がありません。
それでもこの夫はこの子のことを息子として生涯慈しむことができるものでしょうか。

血のつながりがないことは承知のうえでの決断です。私は大丈夫です。

そのようにあなたは断言できますか?
人は、血のつながりはないとわかっている子に対してまで、この子は私の息子(娘)です、という確信をもてるものなのか。
親子の絆がためされるといいますか、そもそも「親子」ってなんだろうというところから考える必要がありそうです。

(2)養子縁組を行う場合
この場合、別の男女の間に生まれている子を夫婦の子として受け入れることになります。
つまり、夫と妻のいずれにも「養子」と間に血縁関係がありません。
親子なのに血縁関係がないという意味で、養子縁組を行った夫婦には(1)と同じような葛藤がうまれる余地があります。
ただ夫と妻のいずれにも「養子」と血縁関係がないという意味では、妻と子の間には血縁関係がある上記(1)と比べると、夫婦間に子に対する愛情の深さでずれが生じる余地は少ないように思われます。

(3)子はあきらめる場合
不妊という現状を受け入れるということですね。
現状を認めるという意味では、♪ありの~ままの~、ではありますが、不妊の原因が夫か妻かのどちらかにあることが明らかな場合は、原因がない方が本当に子をあきらめるということで落ち着いていけるものなのか、やはり納得しがたいという思いが、いずれどこかで夫婦の絆に亀裂を生んでしまうことはないものか。

夫婦ってなんだろう、という十字架を突きつけられますね。
子がもててこそ夫婦という価値観が捨てられないと、(4)離婚という選択肢にいきつきそうです。
不妊の原因があるとされた側にとってこれは辛いでしょう。

われわれにできることは何でしょうか。
不妊で悩む夫婦の気持ちを少しでも理解していくことが、すべての出発点であるように思います。

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