彼にお金を貸したんですけど。。

私の事務所にかかってくるよくある電話のひとつです。

若い女性の声 「ちょっと聞きたいんですけど-」(←のっけからやや無礼)
青島 「はい、どうぞ」
女「お金返してもらいたいんですけど、ばっくれてて電話もでないんですけど、これって返してもらえますよね」
青「お金をあげたのではないのですよね?」
女「だから貸したんですけど、ほんっとふざけてる」
青「お金をあげたのではなくて、貸したのであればもちろん返してもらう権利はありますよね。ただ、現実に返ってくるかどうかは、身も蓋もない話、相手の人格にもよりますよね。借用書とかはあります?」
女「借用書ってなんですか。お金貸したんですけど」
青「お金は現金を渡したんですか」
女「そう」
青「いくら?」
女「もうわかんないぐらい渡してる」
青「細かくメモしてないのね?大体でいくらぐらい渡してる?」
女「えー、もういくらだろう。ほんと分からない」
青「いや、だいたいでいいので。何年何月何日ごろ、いくらを、誰それに貸した、こういう形で言い分を整理しないとだめなんです」
女「でも200万円ぐらいはいってる」
青「彼は何してる人?」
女「てかホスト」
青「どこで知り合ったの?」
女「私がお店に行って~」
・・
・・
あとは大体想像がつくと思うので、省略してしまいますが、
ほんとにこんな感じの電話ってたまにかかってきます。

新宿1丁目という場所柄か、とにかく若い(10代後半~22,3歳ぐらいまででしょうか)女性で、おそらく歌舞伎町など繁華街で働いているような方が、ホストやスカウトの男性にお金を貸したけども返ってこないんですけど(怒)という電話ですね。

このようなご相談に対し、わたしに何ができるのか?

まさか話をきいておわりということはないですよね?
すみません。。それ、あり得る話です。

弁護士といえど、証拠(ここでは女性が男性にお金を貸したことを第三者に証明するための資料)がひとつも存在しないというようなケースでは、何の力にもなれないということはままあるのです。

金銭の貸し借りのご相談であれば、
お金を貸した証拠としては次のようなものがあるかどうかを、確認していくことになります。
①彼からの一筆、つまり借用書。
これがあればベストです。文面と署名押印によって、この女性が、いつ、この男性に、いくら貸しつけたものかがすべて証明できるからです。もちろん契約書でもOKです。
ただ、借用書や契約書をぬかりなく準備する若い女性などほぼ皆無ですね。
②通帳(銀行の取引履歴)の記録
この女性が男性宛にお金を振り込んでいれば、その通帳(取引履歴)は、お金を貸したことの動かぬ証拠となります。もちろん、借りたのではなくもらった、借りたのではなく代金として受け取ったなどの反論もあり得ますが、それは最終的には裁判で決めることになります。
お金を振り込んでいれば、このように通帳(取引履歴)が動かぬ証拠となるのですが、振込ではなく、現金を一旦おろしたうえで、その現金を手渡しで交付してしまったという場合は、少し困ります。
お金をおろした事実は証明できているのですが、それを彼宛に渡したという証拠がないことになってしまうのです。お金をおろした日付と、現金を交付した日付が同じ日ですとか、近接しているという事情があれば、彼に渡したとの事実を推認しやすいとはいえますが、直接彼に渡ったことを示す証拠がないことには変わりないので、やはり証拠力(証明力)としては落ちます。
③現金を渡した場面に立ち会った人間の供述
これも証拠になりますね。裁判になった場合、彼の言い分とこの立ちあった者の言い分とのどちらが信用されるかの判断となります。

今あげたような証拠がひとつでもあるようであれば、裁判で勝訴できる可能性がありますし、
勝訴できれば、すぐには無理でも、いずれ彼がまともに就職をした後などの給与を差し押さえるなどして、
強制的な回収を実現できる可能性がありますので、
弁護士が介入して、直ちに返済してくださいと内容証明郵便を送付して、応じなければ本当に訴訟に踏み切るということは十分あり得ます(貸した金額がある程度の金額であれば)。
電話を下さった女性にも、そのように回答して、必要であれば、その手段をとっていくこととなります。

ただし、上記のような証拠が全くない、という場合(御本人が貸したといっているだけ)ですと、弁護士といえども、本人の言い分のみを頼りに、内容証明郵便を送付するということは、まずやりません。
やってはいけないということはありませんが、かなりためらわれるのです(訴訟になって敗訴する可能性がそれなりに高いケースと判断しているときは、紛争相手に対して、強硬な姿勢で、強気な主張をすることは、職業倫理上も問題が生じます。)。
そのため、来所相談に至るまでもなく、これは難しいかもしれないです、などといって、電話限りの会話でご相談を終了したりします。
このような場合は、電話の終わり際、電話の向こうのお嬢さんが、かなりご不満な様子であることだけは十分に伝わってきますので(この弁護士つかえない、という心の声が聞こえてくるぐらい)、力になれない申し訳なさ半分、徒労感半分で、双方なんだかなあといったところです。

お金を貸す場合は、自分から相手にお金が移動したことの証拠をとっておくことが不可欠です。
借用書(一筆)とっておくのが一番ですが、それができないのであれば、現金を直接渡してはいけません。
それでも貸すのであれば、自分の口座から相手の口座に振り込む方法にしましょう。
そうしておけば、お金の移動が端的に記録に残りますのでね。
でも若い子たちは、振込なんてしないんだろうなぁ。。。
だからこんな電話がかかってくるんだろうなぁ。。。

皆さんは一応知っておいてください。

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2 件のコメント

  • 彼氏本人の名義で携帯電話を契約する事が
    出来ない為、私が 彼の携帯電話を契約しているんですが、初めに契約する時に、毎月集金するよとは、言ったのですが、払ってもらったのは、っていますが、月々携帯電話料金で12000円で
    携帯電話本体代42回払い約1000円ですし
    今まで携帯電話料が約12000円×13ヶ月です
    払っている中で、唯一、一回だけで逸れも5000円でその時点でマイナス7000円です。彼が仕事で居ない時冷蔵庫をみて、空っぽだったので
    何回が私の貯金の中で、生活費を出していまして
    其れが約10万位使いました。
    此のまま一緒にいても、逆にもっと使う事になるので4月で関係を終わりにすらんですが
    親や色んな人に、金銭面の相談をするんですが
    皆が同じ答えで、そんな男性は、普通じゃないよ
    絶体に泣き寝入りはだけは、しないで払ってもらい穏便に別れたほうが良いよ言われています
    彼は、非常にお金には、ダラしがない人で
    私も、もうお金がなく、本当に困っていて
    考え過ぎて、最近体調が悪くなり仕事中に
    目眩や吐き気や胃が痛くなったり手の震えがきたりで早退を繰り返していたら、会社からも
    信用がなくなり、退社する事になるのが
    頻繁です。お金は、大切ですしそのお金を
    災厄20万でも良いので、直ぐに返済して欲しいのです。私も会話するとイライラするので、
    ラインでお金の事送ってるんですが
    分かったよ、と来るんですが
    分かってなく返済は、一向にありません。
    もう言うのも疲れしまい、考えると苦しくなり
    逆に私が、死を考えています。
    どうしたら返済して頂けますか?助けて下さい
    お願い致します

    • 彼には、次の内容の書面に署名をもらってください。

            支払確約書
                 令和◯年◯月◯日
      山田花子殿
               住所
               氏名

      私は、平成◯年◯月から現在までの間、自分が使用する携帯電話において発生する一切の費用(契約手数料、本体代金、通話料等)について、すべて山田花子さんにお支払いいただいたことを認め、現時点で合計◯◯円の金額については、私が山田花子さんに返済するべき義務を負っていることを認めます。
      また、私は、平成◯年◯月から現在までの間、山田花子さんから、生活費として合計〇〇円をお借りしていることを認め、その全額につき、山田花子さんに返済するべき義務を負っていることを認めます。
      私は、上記合計〇〇円については、令和◯年◯月◯日までに、支払うことを確約します。

                                    以上

      署名がもらえなくても、ラインでのやりとりをしているということであれば、次のようなラインを改めてしておいてください。

      私がこれまであなたのために負担した◯◯のお金合計◯◯円、◯◯のお金合計◯◯円、・・・(とにかく内訳と金額を明記して、列挙するのです。内訳と金額ははっきりと記載してください。だいたいいくらではだめです)について、いつになったら返してくれるのですか??

      このラインに対して、彼がとくに支払義務を争わない返答をしてくれば(わかったよ、でもよい)、あとでこれが返済要求をする際の証拠として使えます。
      このようなやりとりを、彼と別れる前に(別れた後でもかまわない)、とにかくやってください。

      書面に署名をしてもらった、ラインではわかったという返事は残せた、ということであれば、後は法的措置をとるかどうかの決断の問題です。
      署名をしたにもかかわらず、返してくれない。
      ラインで「わかった」というにもかかわらず、返してくれない。
      そんな状況が続くなら、もう法的手続きをとればいいです。
      もう彼の言動に振り回されても仕方がありません。
      こちらが法的措置をとる決断ができるか、どうか、です。

      法的措置をとる場合、訴訟よりも、支払督促という手続きがおすすめです。
      弁護士を使わなければ、費用もほとんどかかりません。

      彼が一応は仕事をしている(勤務先がある)人であれば、上記書面に署名がとれれば(あるいは、ラインのやりとりが残せれば)、最終的に全額を回収できる可能性も十分あります。

      彼との交際で疲れきってしまったところがあるのだと思いますが、少なくとも、お金のことについては、もう彼とは切り離して考えたほうがいいですね。彼の人格や性格や態度がかわることはありません。
      単なるお金の回収の問題として、本気で上に述べた作業をやってみてください。

  • 山田花子(仮名) へ返信する コメントをキャンセル

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