洗脳されてしまうのは、あなたにこんな気持があるから。

X JAPANのToshiさんの出版した「洗脳 地獄の12年からの生還」(講談社)について

先日、このブログで感想を書きました。→「洗脳 地獄の12年からの生還」(講談社)を読んでの感想はこちらをクリック。

Toshiさんって、きっと優しくて、いい人なんだろうなと思うのですが、

そんなToshiさんが長期の洗脳状態にはまりこんだわけについて、私なりに考えてみました。

 

X Japan時代のToshiさんは、Yoshikiさんからの期待に応えようと必死になって生きていました(おそらく)。

それは楽曲のクォリティーの重要部分を占めるボーカルを務めるToshiさんにとって、ときに厳しすぎる要求だったかもしれません(Yoshikiさんから高すぎる理想ゆえの厳しい要求)。

「洗脳 地獄の12年からの生還」(講談社)にも書かれていましたが、当時のToshiさんは、家族の期待(地位・名声・収入)にもこたえよ
うと必死にがんばっていたようです。

周囲の期待にこたえようと自分を殺し、必死に努力を重ね、疲弊して、

それでも心から自分に安らぎを与えてくれる存在もみつけられず、

幸せな状態とはどういう状態をいうのかわからなくなり、

とにかく今の環境以外の別の世界にいかなければならないと強迫観念にかられて、

これまでの自分を形作ってきた何もかもを白紙に戻そうと、

当時のすべてと決裂する極端な方向にすすんでいってしまった。

それが、X JAPAN脱退までの「TOSHI」さんだったのではないか。

 

ある意味、X JAPANの「TOSHI」ではない、別の自我が芽生えて、過去の自分ではない、新しい自分を探す旅にでてしまったToshiさん。

新しい自分なんて探してみつかるようなものでもないのに。

すべてを捨てて、別の旅にでてしまったToshiさん。

 

その旅で出会ったのがMASAYA氏であり、元妻香氏であったのが悲劇の始まりでした。

Toshiさんは、MASAYA氏、香氏らとの12年間、

彼らからの罵倒、暴力を受けて、

部外者から見れば、彼らの奴隷としての立場、労働に甘んじていながらも、

Toshiさんの心のなかでは、それを甘んじているという認識ではなく、疑いなく当然のもの、むしろそれこそが幸せなことであると受け止めていました。

第三者からみたら、んなアホな!早く目を覚まして、こちらの世界に帰って来なさい!という状況です。

そんな状況下、Toshiさんを突き動かしていたものはなんだったのか。

それはMASAYA氏、香氏からの期待に応えたいという一心だったのではないでしょうか。

 

もしそうだとすれば、

X JAPAN時代も、12年間の洗脳時代も、

人の期待に応えたいという一心で没頭していたという一点において、

Toshiさんの本質はまるで変わっていなかったのではないか。

 

本当は搾取されているという一面に目をつぶり、俺は社長についていくという社長の取り巻きの皆さん、

本当は監督や先輩のサディスティックな欲望を満足させられているにすぎないにもかかわらず、それに目をつぶり、

チーム一丸のスローガンのもと、絶対的服従を強いられて嬉々としてその伝統を受け継ぐ高校球児たち、

相手の期待に応えたい、というその純粋でまっすぐなその思いが、

自分を支配する側に対して向けられた時、

冷めた目の部外者の批判や意見の介入の余地のない、

悪魔の聖域(洗脳世界)が完成してしまうのではないか。

それが私の仮説です。

 

人の期待に応えたいという気持ち、

人の期待に応えられたという充足感、

といったものは麻薬のような強力な作用があるような気がします。

あなたにも、妙に惹きつけられる人からの要望に応えようとして振り回されたおぼえはありませんか?

人の期待に応えたいという誠実なあなたの思いが原因で、

あなたは詐欺師に騙されたり、カリスマに洗脳されたり、要は人にいいように利用されることになる。

それがあなただけでなく、たくさんの人が巻き込まれていくと、

世をにぎわすカルト的宗教団体やブラック企業が完成する。

被害者が増えれば増えるほど、それらの存在が新たな被害者を生んでいく。

Toshiさんも、ほかの被害者から加害者側の人間として糾弾を受けていましたね。

悲劇のスパイラルというほかない。

 

相手の期待に応えたいというやさしい気持ちが、あなたを洗脳に近づけるという皮肉。

結局、こちらが相手の期待に応える気持ちがまるでなければ、洗脳されてしまうという事態は起こりえないのではないか。

 

日々、あなたは誰かの期待にこたえようとがんばってはいませんか?

もしかすると、あなたもすでに洗脳状態にあるのかもしれませんよ(なんて)。

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