弁護士と警察について考える

今日は、弁護士と警察についてのお話です。

警察とは

まずは警察とは何なのか、というところから押さえていきましょう。
警察とは、組織上の意味においては、警察法により、警察の責務に任ずるものとして置かれた機構を称したものとされています(有斐閣法律学辞典第三版)。

警察官とは

では次に組織としての「警察」ではなく「警察官」とは何なのかという点もおさえておきましょう。
警察官とは、警察法2条に定める警察の責務を遂行するため、警察庁及び都道府県警に置かれる職員の種類のひとつであるとされています(有斐閣法律学辞典第三版)。
私たちがイメージしやすいのは、交番のおまわりさんですが、それ以外の多くの職員も含む概念です。

警察官の仕事とは

では「警察官」とは、一体何を仕事としている人達なのでしょうか。
私たちがもつ大雑把なイメージとしては、悪いことをした人を捕まえてくれる人なんでしょうというところでしょうか。
しかし実際にはそれにとどまりません。
さきほどでてきた警察法2条によりますと、
警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務とする。
とされております。
つまり、警察官とは、警察の責務である
・「個人の生命、身体及び財産の保護」
・「犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持」
を任務とする人達というわけです。
とにかく警察官の活動は、悪いことをした人を捕まえることにとどまらず、日々のパトロール活動、交通違反の取締、職務質問その他多種多様であり、
警察官は、それらの活動を通じて、おおきく街の治安をまもるという役割を果たしてくれているわけですね。
警察がいなくなったら、私たちの生活はどうなってしまうのか?
考えてみたことはありますか。

弁護士の仕事とは

さて警察と弁護士との接点はどこにあるのかといいますと、そうです、刑事事件です。
つまり犯罪が接点となるわけで、捜査をする側が警察です。
では弁護士は何をするのか。大きくわけてふたつあります。

 弁護士による被疑者・被告人支援(弁護人活動)

ひとつは被疑者・被告人の弁護人としての活動です。
弁護士が、犯罪加害者(あるいは無実にもかかわらず被疑者扱いされた人)の本人やご家族からの相談を受けますと、警察署に弁護人選任届という書面を提出して、当該加害者の弁護人としての活動を開始することになります。逮捕されていれば、接見にいくたびに留置場の担当官(留置係)との接触をもちますし、起訴されるまでの間は、被疑者の取調担当官と捜査状況や身柄解放について、接触をもつことになります。

 弁護士による犯罪被害者支援

もうひとつは犯罪被害者支援に関する活動です。
弁護士が犯罪被害者から相談を受けますと、加害者に対する損害賠償請求、警察に対する被害届、告訴状の作成、代理提出、警察署への同行などを行うことになります。
ここで弁護士と警察官(警察署の担当官)が直接の接触をもつことになります。

弁護士と警察の関係~敵か味方か~

 弁護士は悪の味方?

何らかの犯罪をした疑いをかけられた人が、身柄拘束(逮捕・勾留)を受けると、警察署にある留置場に閉じ込められることになります。
想像してみてください。
コンクリートの固まりのなかで、閉じ込められる息苦しさを。
頻繁に手錠をかけられて、頑丈な厚い扉の内側から出られない状況を。
これを助けるのは弁護士しかいない!
てなことを考えだすと、弁護士が正義の味方のように思えますが、別にそういうわけではない。
冤罪が起こりうること、現に冤罪が生まれていることは事実ですが、身柄拘束を受けている人の多数派は、実際に犯罪をしてしまったという人達です。どちらかといえば「悪」を犯してしまった人たちのいわば味方として活動することがほとんどです。
では弁護士が弁護人として彼らの何を守るのかといえば、正しい手続で身柄拘束をされたり、正しい手続で取調べを受けたりという、正しい手続で刑事裁判を受けたりという、専門用語でいうところの適正手続を守るということと、これまた堅苦しい言葉でいうと黙秘権や拷問を受けないなど要は人権を守るのです。
そのなかで、彼らの言い分を余すところなく(本当に余すところなく言うとかえってよくない場合もありますが)捜査機関や裁判所に主張して、早期に釈放されたり、なるべく負担の軽い量刑になったり、本当に冤罪なのであれば無罪判決を受けたりするための活動を行うのですね。
別に真犯人の言いなりになってクロをシロということが仕事なのではないのですね。このあたりに弁護人に対する世の中の大きな誤解というか、正しくない理解があります。

 警察は正義の味方?

一方の警察が、被疑者・被告人のことをどのようにみているのかといいますと、判決こそまだ受けていないものの、要は犯罪者だと思っているわけです。この悪をこのまま社会に放置するわけにはいかない、徹底的に捜査をして、身柄拘束や刑事裁判のなかで、十分に反省をさせて、懲らしめなければならない。そんな正義感で警察官という仕事をしているものと思われます。たまに警察署にいくと、被疑者を怒鳴りつける声が聞こえてきて、あぁ、これは冤罪(自白強要)も十分うまれるだろうなと納得できるものがありますが、本当に悪いやつに生易しい取調べなどして、白を切られるような眠たいことはやってられるか!といった捜査文化のようなものが今も確実に残っているようです。あなたが警察官だとして、紳士的な取調べだけでやっていけると思いますか?

 結局、誰の味方?

実は、今話したような、正義vs悪のような対立で考えてしまうことは、大いなる勘違いの元になります。話はそんなに単純ではない。
正義か悪か、という議論は、例えば警察に疑われているこの人(被疑者)が本当の犯人である「犯罪者」である、間違いない、と断定できて初めて成り立つ議論なんですね。
警察が強制力を伴う捜査をどこまでできるのか、刑事裁判になったときにどのような手続でその「犯罪者」に対して刑罰(死刑、懲役刑、禁錮刑等)を与えるのかという「犯罪者」の一連の処遇手続を定めているのが刑事訴訟法という法律です。ところがこの刑事訴訟法というものは、手続きの対象者として「被疑者」「被告人」という言葉を使っているのですが、手続の対象者を指して「犯罪者」ですとか「犯人」ですとか、要はこいつが張本人なんですと断定するような言葉は一切使っていないのです。
どういう意味か。

《つづく》
※続きはまたおいおい記載します※

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青島 克行

青島 克行弁護士・保育士・宅地建物取引主任者

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