弁護士と「いたこ」

弁護士と「いたこ」

「いたこ」って、あの「いたこ」のことです。
今回は「いたこ」と弁護士についてお話してみたいと思います。

弁護士と「いたこ」|「いたこ」とは何か

広辞苑によれば、
「いたこ」とは、東北地方で口寄(くちよせ)をする巫女(みこ)のことをいうとあります。
さらにその巫女については、いちこ(神巫・巫子・市子)とも呼ばれるようで、
生霊や死霊の意中(こころのなか)を述べることを生業とする女、口寄せ、梓巫(あずさみこ)、巫女(みこ)、いたこ、
と説明されています。

弁護士と「いたこ」|「いたこ」と生霊、死霊との関係

「いたこ」は、霊(亡くなった人の霊、今も生きている人の霊)がのりうつった状態で、その霊の思っていることなどを、我々に伝えてくれます(本当かどうかは、一旦おいておいて)。
本来聞けないはずの人の心の中を、その場にいない本人に変わって、いろいろと聞かせてくれるだなんて、常識的には不可能なことですよね。
その不可能なことをしてくれるのが、「いたこ」という存在なわけです。

弁護士といたこ|弁護士と依頼者の関係

弁護士は「いたこ」ではありませんので、霊の意中(心のうち)を代弁することはしませんし、そもそもできません。
弁護士が代弁するのは、霊の意中ではなくて、現実に存在している人(個人・法人)です。
実在する依頼者が言いたいこと、考えていること、主張したいことを、その人にかわって、紛争相手や裁判所に対して、主張していくというのが弁護士の仕事です。
弁護士にとっての依頼者が、「いたこ」にとっての霊にあたる、という関係になります。

弁護士と「いたこ」|「いたこ」の凄みとは

ここで思うのですが、霊に憑依されて、その意中を述べるという「いたこ」の凄みです。
わかりますでしょうか。
憑依ですよ。憑依。のりうつられてしまうのですよ。
この凄みがわかりますでしょうか。
生霊や死霊に、自分の体をお貸しして、自分の身体をとおして、生霊や死霊の言い分を話させてしまうのですよ。
この凄みたるや。
生霊、死霊が自分の言葉で自分の思いを語る形になるわけです。
彼らは本来はその場に実在しえないにもかかわらず、そこに実在している「いたこ」の身体を通して、自身の言葉やメッセージを現世を生きる我々に伝えてくるわけです。逆にいうと、御本人(生霊・死霊)になりかわって、御本人そのものとしての主張を聞かせてくれるという「いたこ」のその役割こそに私はその凄みを感じるわけです。
なぜ自分の身体をお貸ししてまで、生霊・死霊の言葉を語らせなければいけないものか。私にはその献身性の源がどこにあるのかわからないのです(だからこそ、そんなことをする「いたこ」の存在に畏敬では言い表せないほどの凄みを感じるのです。

弁護士と「いたこ」|真の代理人といえるには

さて翻って弁護士です。
弁護士がいくら形の上で御本人(依頼者)から依頼をうけて、御本人(依頼者)を代理して、交渉や訴訟活動を行うといったところで、「いたこ」と同レベルで本人の心の中を語ることができるのだろうか。
せめて「いたこ」と同レベルで、本人の意中を語れるぐらいでないと、恥ずかしくて「代理人」などと名乗ってはいけないのではないか。
私がここでの問題提起したいのはこの点です。

弁護士と「いたこ」|弁護士があなたの「いたこ」になるとき

さてあなたが弁護士になにかを依頼したとして。
あなたの弁護士は、あなたが出席していない交渉の場で、あなたが出席していない法廷の場で、あたかもあなたの生霊が憑依したかのような主張や意見を、紛争の相手方や裁判所に対して、堂々と主張してくれているのだろうか。
そこまでできるには、いったいどれほどの情報量をあなたから得ておかなければならないだろうか。
そこまでできるには、いったいどれほどの打ち合わせを重ねなければならないだろうか。
そこまでできるには、いったいどれほどの推測力をもって、あなたの心のうちを読み取らなければならないだろうか。
そこまで信頼できそうな弁護士に依頼していただきたいものですし、そこまでやってもらえるように、あなたがもっている情報や思いは、生霊となってその弁護士に憑依するぐらい熱心に何度でもその弁護士に伝えておくべきだと、私は思います。

弁護士と「いたこ」|ここぞというときのために

もちろん弁護士はあくまで代理人でご本人(依頼者)そのものではありません。
弁護士だからといって、御本人(依頼者)のもっている知識、経験をすべて引き継ぐことはできません。
また、弁護士が本人と同化しすぎてしまって、弁護士まで御本人と一緒になって感情的な主張(しかも理屈が通じない)してしまうような事態は避けなければなりません。冷静な第三者としての立ち振舞いも必ず必要になるのが、弁護士という仕事なのです(文章を作成するときも同じです。感情的なことばかり書いても本当にダメなのです)。
ただそれでも。
弁護士が、まるで依頼者の生霊が憑依したかのように滔々とその思いを代弁することで、紛争の相手方や裁判官の心を動かすということはあり得るものと思っています。もちろん、すべての場面で弁護士が依頼者の生霊を憑依したままで活動したら、かえって、喧嘩になったり、議論がかみあわなくなったり、要は話が進まなくて問題だと思いますが、ここぞという場面を見極めて、弁護士があたかも「いたこ」のように、依頼者の思いを、相手方や裁判官に届けることができたら、それは依頼者にとってはこの弁護士に依頼して本当によかったということになりましょう。
だから私に依頼される皆さまは、どうか、恥ずかしがらずになんでもかんでも私に教えて下さい。私からもしつこく質問があると思いますが、それは大切な場面で「いたこ」弁護士になるために必要だからこそ。あなたのことを何でも知っていると豪語できるぐらいでないと、あなたの「いたこ」には慣れないのです。

ここぞというときに「いたこ」になれる弁護士。
私は悪くないと思います。

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青島 克行

青島 克行弁護士・保育士・宅地建物取引主任者

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