弁護士と法律相談|有料か無料か。

弁護士と法律相談

弁護士といえば法律相談。
法律相談といえば弁護士。
それぐらい切っても切れない両者の関係です。

悩める人たちからの法律相談にのる。
これは、弁護士にとって大切な仕事です。

今、仕事と書きましたが、これは有料相談とは限りません。
世に無料をうたう法律相談窓口は、いくつもあります。探せばすぐ見つかるはずです。
さらに一口に無料相談といっても、
弁護士が本当にボランティアで対応しているものと、
顧客誘引策として、あえて無料相談を謳っているものと(要は、マーケティング視点)、
ふたつの種類があるものです。

後者の場合、無料相談といいながら、すきを見て受注につなげる営業トークがされることもありうるし、受注の可能性がほぼないと判断された相談者には、通り一遍の一般論(私にいわせれば、一般論の回答は無意味、ときに有害)を聞かされて、さっさと追い返されることもありえます。
無料でトクだ、ラッキーだと喜んでいればいいというわけではないのです。

弁護士と法律相談|無料相談

テレビコマーシャル、ラジオコマーシャル、ネット広告、電車中吊りチラシのいたるところで、弁護士の広告がみられるようになりました。
相談料無料!初回相談無料!成功報酬制!
こんな言葉が踊っていることも珍しくありません。
消費者目線でみれば、とても良い流れなのだと思います。
消費者の懐に優しい無料相談の、どこに問題があるのか。弁護士の営業努力もようやくここまできたか。すばらしいではないか。
というわけですね。
私も、独立当初は、初回相談料(30分)無料を謳っておりました。
無料相談受付中ですよ、どうぞお気軽にお越しくださいませ!と。
そして実際にご相談者の方がこられるようになって、30分位内でできる限りの回答をしてさしあげる。
あぁ、今日は相談にきてよかったです、ありがとうございました。
いえいえ、お役に立てて何よりです。
そんなやりとりをするのです。
そんな無料相談対応を、当初は、自分でもいい気持ちでやっていたのです。
自分もいいことをしていると思っている面もありましたので、それでよかったのです。
が、ある時期を境にやめました。
無料相談をやっていて、お客さんに満足してもらえれば何よりではないか。
そうかもしれません。
でも、私のほうが満足できないようになってしまったのです。

弁護士と法律相談|弁護士からみた無料相談

法律事務所を開設するにも、運営するにも経費がかかります。
日々の文献購入費も相当な金額になります。
ご相談者の方々に、弁護士としての知識・経験を注ぎ込むことも当然です。
限られた相談時間のなかで、できる限り有意義な助言なり回答なりをしようと最善を尽くします。
そして、あぁ、相談してよかったです、来てよかったです、と笑顔になっていただく。
私も、そういっていただけてよかったです、と笑顔でお見送りする。
ご相談者が帰られた後の事務所で、ひとり満足の笑みをたたえて、別の仕事を再開する。
で、ふと思うのです。

今の時間はなんだったのか。
あのご相談者の方は笑顔でお帰りになられた。それはよかった。
でも、あのご相談者の方からは、なんのお代もいただいていない。
私にとって、あの相談者の方に捧げた、あの時間はなのための時間だったのか。
私ななんのためにあのご相談者の方のために、私の時間を割いたのだろう。
私はなんのためにあのご相談者の方のために、私が持ちうる限りの知識・経験をお伝えしたのだろう。
私は霞を食べて生きているのか。
私は仕事として弁護士をやっているのではなかったのか。
無料相談をしていて、いつ私は収益をあげるのだろう。

さらに正直にいうと、
どれだけ喜んでいただいたとしても、
いや、喜んでいただければ頂くほど、
無料相談をしている自分のことが惨めに感じるようになってしまったのです。
肉体労働ではないだけに余り偉そうなことは言いづらいのですが、
それでもやはり、あえて断言させていただきます。
無料相談はタダ働きなのです。

こんなに一生懸命、事前のメールでその方から情報収集をして、
こんなに一生懸命、事前の情報収集をふまえて、事前準備をして、
こんなに一生懸命、相談時間をなるべく濃密な時間にするように、濃密な回答を用意して、
それなりの見通しや安心を提供させていただいたにもかかわらず、
大丈夫ですよ、30分で済みましたからご相談料はいりませんよ、
などという自分が惨めになってしまったのです。
あぁ、そうですか、ありがとうございます、
なんて言われるのも嫌になってしまったのです(自分で無料相談を謳ったのですから私が悪い)。

というわけで、私に限っていえば、無料相談はもうやめてしまいました。
無料相談をしないことで、「無料」に価値を見出す人から、予め、距離がおけることになります。
この決断は、賛否はあるかと思いますが、私はよい決断であったと確信しております。

弁護士と法律相談|無料相談の3パターン

では、巷にあふれる無料相談をしている法律事務所はどうなんだ?ということについても、私の見解をお伝えしておきましょう。
無料相談対応をしている事務所にも、いくつかパターンがあると思います。
(1)聖人君子タイプ
弁護士が相手にするのは、お金にゆとりのある人ばかりではない、
弁護士が無料相談をやるのは職業上の当然のことである、
というぐらいの信念をもってやられている方がおられます。
このような弁護士さんを、私は心から尊敬します。
が、すべての弁護士がそうなったら、弁護士という職業(有料)を否定することになりますので、その点、疑問が残るといえば残る。
あと、このような弁護士さんが、ちゃんと食べていけるのかどうかも心配です(私も人の心配をしている場合ではないのですが)。

(2)マーケティング目的(集客目的)
どんなサービス業でもどんな物品販売業でも、なんらかのサービス・物品について無料での奉仕を提供することは珍しくありません。
まずはサービスを知って頂いて、有料顧客になっていただく。
まずは商品を知って頂いて、有料顧客になっていただく。
そのとっかかりの集客方法として、無料であることを謳うわけですね。
広い意味でいえば、初回法律相談は無料と謳っている事務所は、すべてこの集客のためにあえて無料と謳っているということになるでしょう。
(結果的にボランティアとなる相談があっても、一部が正式受任につながり、トータルで収益があげられればよいという発想です)

(3)法テラスや行政の相談窓口
相談者は無料ですが、担当弁護士は日当なりの報酬を受領していることもあります。
弁護士が日当すら受領しないケースは、本当のボランティアということになります。

弁護士と法律相談|有料相談

すべての法律事務所が無料相談を謳っているわけではありません。
法律相談は有料であると明示している法律事務所も数多くあります。
初回相談のみ無料で、2回目以降は有料としているところも多いですかね。

では、この有料相談。お金を払う価値はあるのでしょうか。
もっというと、そもそも法律相談というものに、お金を払う価値はあるのでしょうか。
なぜ、私がこんなことを言うのかと言いますと、それは今でもこのような方がおられるからです。

(電話でのやりとり)
問い合わせ「法律相談をお願いしたいのですが」
青島「法律相談は有料(5,400円/30分)となりますが、大丈夫ですか」
問い合わせ「え、お金かかるんですか?・・・じゃあいいです。プツッ。ツー、ツー」
青島「・・・」

このような方々は、
単に話をきいてもらうだけなのに、なんでお金を払わなければならないの?
という感覚なのだと思います。
このような感覚もまあありうるだろうなぁとも思いますね。
もちろん私としては反論したいこともありますが、議論したところで、あまり有意義な議論ではありません。
私なりの結論をお伝えしておきますと、
法律相談にお金を払う価値があると思うかどうかは、法律相談をしたいと思っている人が決める。
このように考えるしかないのかな、と思うようになりました。
お金を払ってでも相談したいという方にとっては、法律相談はお金を払う価値がある。
お金を払うのであれば相談しないという方にとっては、法律相談はお金を払う価値がない。
もう身もふたもない話、その人にとってどうかということに尽きるのかなと、思っております。
ダイヤの指輪も、興味がない人には無価値。
どんな高級車も、興味がない人には無価値。
それと同じです(法律相談が高級品だという意味ではなく、例え話として)。

というわけで、私がいう有料相談というのは、
相談する人にとって、お金を払ってでも相談したい!
という場合を想定してのお話となります。
そして、だからこそ、
私は、そのような方々に対して、誇りをもって、有料に恥じない内容の相談サービス(少なくともそういうつもり)を提供しようと、
私なりの矜持として、
・有料である以上は、日頃からあらゆる分野の勉強を怠らない
・有料である以上は、事前になるべくたくさんの情報を聞き出しておく(相談当日までに、私からの質問事項に詳細にご回答いただいておく)
・有料である以上は、当日、なるべくたくさんのお話をする(無駄に相談時間をのばすのではない。多くの情報量を得ていただくよう努力するという意味)
・有料である以上は、当日、なるべくたくさんのお話をお聞きする(同上。事情を正しく深く理解するために。心の叫びまで、汲み取れるように)
・有料である以上は、責任のある意見・回答・助言・見通しを伝える(無料相談の無責任回答というものは、必ずあると思っております)
・有料である以上は、気分を楽にして帰っていただくよう心がける
・有料である以上は、想像以上に相談してよかったと感動して帰っていただくよう心がける
・有料である以上は、無責任にイケイケどんどんの意見を伝えない(無料相談で受注に熱心になりすぎると、このようなことが起こりうる。とにかく任せてくれと)
・有料である以上は、できる範囲で事後的な質問にも回答する(限度はもちろんある)。
といったところは死守しているつもりです。

有料相談と無料相談のどちらがいいのか?

では、無料相談と有料相談のどちらを選ぶべきなのでしょうか。

無料相談を望む人は、無料相談にいったほうがよいに決まっている、と、そういう話をしたいのではありません。
有料であろうが、無料であろうが、結果的によい相談だったといえるかどうかの問題です。
能力のある弁護士による無料相談であれば、能力のない弁護士の有料相談よりもよいに決まっていますからね。
あぁ、そりゃそうだよな。今まで熱心に語っていたのは何だったのかというぐらい、身も蓋もない話です。
無料か有料かではなく、よい弁護士にあたればそれでよいわけです。

弁護士と法律相談|よい弁護士にあたるためには

ただしかし。
自分が相談した弁護士が有能か無能か。
会ってもいないのに、話してもいないのに、もっというと依頼してもいないのに、その弁護士の能力(会話能力、コミュニケーション能力、書面のクォリティ、親切さ等々)など、事前にわかるわけがないのですね。
事前にわからない以上、会ってみるしかないということになります。
そうであれば、有能な弁護士に会えるかどうかは運次第ということにもなりそうです。
たしかに、人生ではじめて会う弁護士が有能かどうかは運次第という面があるでしょう。
しかし、この弁護士に相談したからといって、同じ話題を別の弁護士に相談することが禁じられているわけではありません。
納得できない部分があるのであれば、ほかの弁護士にも会ってみて、別の意見、見解をきいてみればいいのです。
自分が相談した弁護士がどんな人柄か、どんな回答をしてくれたか、見通しや方針に納得できるものはあったのか。
医師のセカンドオピニオンを求めるように、家電量販店でより安い製品を探し求めるように、よりよい弁護士を求めて、
いくつかの法律事務所にあたってみれば、あなたにとって役に立ってくれそうな、有能(そうな)弁護士に、きっと会うことはできるでしょう。

その場合、無料相談であれば、金銭的にはリスクゼロで弁護士ショッピングができるのはよいでしょうね。
有料相談の場合、相談しなきゃ良かったというような弁護士であれば、相談料がもったいなかったということになってしまうので、その点はリスクです。
ただし、有料相談を謳っている分、責任をもって回答しようと努めている可能性は高く、その分、無料相談よりもよい回答が得られるかもしれません。
要は、有料相談も無料相談も良い面も悪い面もそれぞれあるものです。
有料相談、無料相談のメリット、デメリットをそれぞれ十分ご理解していただいた上で、
どうか皆さま、賢く、弁護士をご活用していただければと!
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青島 克行

青島 克行弁護士・保育士・宅地建物取引主任者

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