弁護士と電話相談

法律事務所に電話をしたことってありますか?

ちょっとしたことを聞きたい、聞いてみよう、というわけで電話をいただくことがあるのですね。

ネット検索をしてご連絡いただくことが多いので、私と面識のない方からのお電話をいただくことも多いわけです。

さてそのようなご質問、ご相談に対して、弁護士は素直に回答してさしあげるものでしょうか。

あっさり電話でのご相談はお断りしていますと、ピシャッとはねつけてしまう法律事務所が多いのではないででしょうか(←あくまで私見)。

え、冷たいって?

そう思われるかもしれません。

私もそんな気がしていました。今年の前半ぐらいまでは。

もちろん弁護士によると思いますが、皆さんはどのようにお考えですか?

困っている人が助けを求めているのだから、電話であっても答えてあげるべきだと思いますか。

そう思われる方も多いかもしれませんね。

私もそんな気がしていました。今年の前半ぐらいまでは。

しかし、今は考えがかわってしまいました。

電話相談に応じて、電話回答をしてしまえば、ご相談者の方はすっきりされるかもしれません。

しかし、相談料はどうしますか?

払う気になりますか?

正面切って質問していないのでなんともいえない部分もありますが、電話相談をして、電話回答をもらった方のおそらく95%は相談料の支払のことなど頭にありません。

回答してもらって当然。

少なくとも私にはそうみえることが多いです。

ちなみにこれまで私が電話回答までしてしまうときは、無償(ボランティア)と割りきって回答していました。

一生懸命回答して、さぁ、ご満足していただけましたか?と。

しかしこれがまた電話のむこうのご相談者様が、本当に私の回答に感謝してくださっているものかどうか、さっぱりみえないのですね。

それどころか、あまり感謝していただいていないように見受けられることの方が多い。

少なくとも私にはそうみえる。(もちろん、回答が満足できるものではなかったという可能性もありますが。。)

一方で法律相談のために、弊所に来ていただいたお客様からは、相談時間に応じた法律相談料をいただいております。

対面相談を無償で行うことはありません(昔はありましたが、これも今年の5月以降、心を鬼にして廃止とさせていただきました。)。

対面での御相談でも電話での御相談でも、こちらがこれまでの経験、知識を総動員して全力で回答することにかわりありません。

それなのにこれを電話で無償回答してしまえば、わざわざ有償の来所相談をしていただいているご相談者様に示しがつかないではないか。

そんな気持が芽生えてきたのですね。今年の6月以降。

では来所していただいているお客様にも、やはり無償相談をすべきということになるのでしょうか。

いや、それでは法律事務所はなりたたない。

弁護士という職業自体がなりたたない。

だから無料相談を廃止にしたのです。

よく考えてみれば当たり前のことでした。

法律相談(質問&回答、励まし、安心提供、見通し提示)は、法律事務所が扱う大切な商品なのでした。

商品である以上、無償で対応していたら、経営が成り立つわけがない。

法律相談の対応時間と知識経験を提供するために莫大な経費がかかっている(通信費や家賃等の固定費、文献購入費)。

それを無償で提供していいわけがない。

自分の提供するものを、自分で「タダ」でいいですよなどといって、経営が成り立つわけがない。

電話相談も同じでした。

以上の私の話に反発を覚える方もたくさんおられると思います。

ただ、自営でなにか商売をされている方は、私が言いたいことを実感として共感していただけるものと思っています。

無償での切り売りは、身を滅ぼしてしまうのですね。

弁護士の売り物は、その知識経験に基づく判断です。

細かく言えば、書面の作成、代理人としての活動等いろいろありますが、究極的には事案の解決(依頼者にとってよりよい解決)に向けて、何をどのようにすすめていくべきかというその「判断力」が弁護士の価値の源泉です。

判断力がない弁護士は依頼する価値がありませんし、難しい局面でも解決に向けて何をすべきか、事実を分析して、方針を立てる、局面に応じて、打つ手も柔軟に変更できるその判断力がある弁護士であれば、その弁護士がどれだけ忙しかろうと、無理を言って依頼する価値があると思います。

また「判断力」があればあるほど、短時間で、多くの情報量を分析したうえで、明確な回答をすることができるはずです。

しかし、だからといって、それをすべて無償で電話で回答してしまったら、その弁護士は食べていけないだけでなく、実際その価値をご相談者の方にわかっていただけない、ひいては、実際には密度の濃い、確度の高い回答をしていても、それほど難しい話じゃなかったんでしょ、と思われてしまい、感謝もしていただけない、ということになる可能性が高いです。

本末転倒ではないか。

というようなことに気づいて以来、私は、電話でどうしても答えて欲しいという形で回答をせっつくご相談者の方に対しても、心を鬼にして、「申し訳ありません。電話相談はお断りさせて頂いているんですよ」とお答えするようになりました(今年の8月以降)。

ただ例外的に、一方的に話をはじめてしまう方がいて、こちらが発言する間もなく、相談内容が把握できてしまった場合で、かつ、弁護士に依頼しても解決できるわけでもないケース、だったり、弁護士であれば誰でも即答できるような、5分ぐらいで答えてはいおわりだなと思えてしまうような場合は、ついつい回答してしまうということはありますね。

あとは、ボッタクリ被害にあった直後の方からのSOS電話だったり、要は本当の緊急性のある連絡だったりすれば、これも思わずできる限度で電話での回答をしてしまうことはありますね。

ただやはりあくまで例外です。

電話相談はお引き受けすることは難しい。

これが多くの弁護士のスタンスであると思われます。

結局、電話相談は有償対応に馴染まないのですね。

有償対応を謳ったところで、事前に入金が必要ということであれば、電話してすぐ回答して欲しいという急ぎのニーズに答えられませんし、そこまでして電話相談するような人もいないでしょうし、また、事後の入金でもよいということにしても、実際上は、回答を聞いてしまえばこっちのものといった風で、事後の入金をしていただけないということになりがちです。

というわけで、現在の私は、電話相談は基本的にやっておりません。

さきほど申し上げたとおり、お話が上手な方や、電話で回答まで言ってあげるのが最良と判断できた場合に限り、結果的に(あくまで結果的に)、電話相談めいた話にお付き合いさせていただくことがあるぐらいですね、今は。。(←遠い目)

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青島 克行

青島 克行弁護士・保育士・宅地建物取引主任者

投稿者プロフィール

こんにちは。
私は皆さまとつながりたくて、このサイトを運営しています。

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コメント

    • チョウソカベリヨコ
    • 2014年 9月 14日

    青島先生 

    ご無沙汰しております。
    うみとそら法律事務所がオープンして間もない頃に訪問して、
    可愛くて落ち着いた内装にリラックスしていたのが懐かしいです。
    今もお変わりないでしょうか。

    わかりやすく素敵なサイトで、大変参考になります。
    以前、青島先生に電話相談させて頂いた時、わたしも無料にして頂きました。
    的確なアドバイスで助かりました。本当にありがとうございました。
    今後何かご相談させて頂く際は、直接伺いたいと思います!

    • 青島 克行
      • aoshima-katsuyuki.com
      • 2014年 9月 15日

      ご丁寧なコメントありがとうございます!
      ツボをついたお褒めの言葉に顔がニヤついてしまいます(冗談、いや本当に)。
      お励みになります。

      時がたつのは早いものですね。
      お元気ですか。
      また近況をお聞かせください。

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