埼玉・秩父市の小学校の6年生女児の水泳授業中のプール事故に思う

昨日のFNNニュースから。


報道によりますと、《埼玉・秩父市の小学校で、水泳の授業中に、6年生の女の子が水中で動かなくなっている­のが見つかり、病院に救急搬送され》《女の子は、意識不明の重体となっている》とのことです。

回復をお祈りするばかりです。

このプールの水深は90センチメートルだったそうです。
90センチもあれば、潜って人の視界から消えるには十分な水深ですよね。
まして他の生徒(2クラス50人)が同時に泳いでいる状況では。

監視する教諭にとって、静かに水中に沈んだ生徒を直ちに発見することは実はかなり難しいことなのかもしれません。
どれだけ注意しているつもりでも、見落とすつもりがなくても見落としてしまいうる、そういうことではないかと疑っています。
そうだとすれば、担当教諭の責任問題(刑事裁判だったり)として議論しても、本質からずれてしまうような気がします。

別の事例ですが、平成23年7月に起きた神奈川県の大和幼稚園のケースでは、3歳児が亡くなり、幼稚園教諭が業務上過失致死罪に問われました。
この事件では、プールの水深は約20センチメートルで、29人の園児が同時にプール遊びをしている状況だったようです。
現場の幼稚園教諭は、園児がたくさん(29人も!)いる状況下、溺れた園児の存在に気づけない。
そしてこれほど浅いプールでも、3歳児では死亡事故が起きてしまうのですね。
これらは知っておいたほうがよい事実だと思います。
(「保育園児のための保育安全のかたち」というサイトに、秀逸なまとめ記事がありましたので、幼い子をおもちの方はぜひご一読を→こちらをクリック

ちなみに起訴された幼稚園教諭(新人教諭)は、その後、罰金50万円の判決を受けました(横浜地方裁判所平成26年3月24日判決→産経新聞の報道はこちらをクリック)。

新聞報道によりますと、判決後、大和幼稚園が次のようなメールを保護者宛に送ったようなのですが、後味がわるいですね。
教諭ひとりに責任をおしつけておわり、でよいわけがありません。

《一方、貴弘ちゃんの母、利奈さん(39)によると、この日の判決を受け、同幼稚園から関係の保護者へ「この裁判で元担任が発言した園の指導方法については、残念ながら事実と異なる点が多く、園の指導方法については今まで皆様にお伝えして参りました通りである事を再度お知らせ致します」などとメールがあったという。》

では、このような事故が起こる可能性を極限まで減らすために有効な方法はなんでしょうか。
各事例において、そのような手段がとられていたものかどうか。
ここが本質論だと思うのです。
(あえていうならば)たかがプール授業で子どもの生命を失うことのないようにするために、我々はせめて何をしておくべきなのだろうかという、というお題目です。

皆さん、名案はありますか?

私も名案は思いつきませんが、結局、監視する人員の数を増やすしかないのではないかと思うのです。
監視員がひとりかふたりか三人か四人の陣容で、50人もの生徒がひしめくプール全体の安全の確保をすることはそもそも無理である。
もしそうだとするならば、誰かは気づいてくれるはずという、その誰かの数を極限まで増やしていくしかないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

監視するのは教諭でなくてもよいのです。
ボランティアを募ってもよいし、生徒同士で監視しあうというのでもよいのです。
監視担当生徒を必ず何人か配置するというのもありでしょう。

3歳児や4歳児に互いの監視を期待するのは無理かもしれませんが、小学生それも高学年の生徒に対してであれば、先生の監視にも限度があること、誰かが体調を崩して水の中に沈んでしまうようなこともありうる事態であること、そのような事態があることを十分認識して、なにか気付けばすぐに先生に知らせること、ぐらいの指導は十分可能であるし、それはこのような悲劇を防ぐために無駄ではないことだと思うのです。
それこそ生命の授業になると思うのです。

なぜ気付けなかったのか。。という問題を教諭ひとりに背負わせてはいけないと思います。
事故が起こりうる可能性を授業のたびに再確認するしつこさが必要ではないかと、思った次第です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です